筋肉骨子こと、こっこ(@kinnikukokko)です。
本日は「頭蓋内圧亢進」「脳ヘルニア」についてまとめていきたいと思います。
頭蓋内圧亢進とは
頭蓋内圧亢進とは、髄液圧が180mmH20以上の状態をいいます。
どのようなときに頭蓋内圧亢進になるの?
①脳腫瘍・脳出血
②脳浮腫
③水頭症
頭蓋内圧亢進による影響
まず頭蓋内圧が上昇すると脳灌流圧が低下します。
平均血圧=脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3+拡張期血圧で定義されています。
計算式に当てはめると、血圧が120/60の場合80mmHgになります。
頭蓋内圧の平均値60~180mmH2OをmmHgに直すと0~12mmHgとなります。
脳灌流圧は平均血圧-頭蓋内圧です。
80mmHgから頭蓋内圧0~12mmHgをひくと、68~80mmHg。
これが脳灌流圧となります。
頭蓋内圧が亢進し200mmH2O=14mmHgになったとすると66mmHgとなるので
頭蓋内圧が上昇すると脳灌流圧が低下するというのがわかります。
圧力が低下するので脳虚血となります。
脳虚血になると嫌気性代謝(酸素を必要としない代謝)になります。
そうすると乳酸が増えます。
乳酸が増える=酸が多くなり酸性に傾くためアシドーシスになります。
アシドーシスになると細胞の代謝が阻害されるため
イオンポンプがうまく働かず細胞内にNa⁺蓄積されます。
Na⁺が水分を引き込むためむくみにつながり脳浮腫になります。
脳浮腫になると頭蓋内圧の上昇につながります。
脳灌流圧が低下するとPaCo2も上昇するため脳血管が拡張して脳血流量が増加します。
脳血流量が増加すると頭蓋内圧の上昇につながります。
症状
慢性頭蓋内圧亢進
①頭痛
⇒起床時の頭痛は睡眠中の低換気によるCO2蓄積により血管拡張、血液量増加で頭蓋内圧がさらに亢進する。
又、臥位が続き静脈還流量が低下し髄液圧が上昇することも頭蓋内圧亢進につながり引き起こされる。
②悪心・嘔吐
⇒延髄にある嘔吐中枢が圧迫刺激されて起こります。
③うっ血乳頭
⇒網膜中心静脈圧迫による視神経乳頭浮腫
④外転神経麻痺に伴う複視・意識障害
急性頭蓋内圧亢進
・クッシング現象(血圧上昇・徐脈)
⇒高度の頭蓋内圧亢進時、脳血流減少による脳虚血をふせぐため血圧が上昇する。上昇した血液を一定に保とうとする働きが生じ、心拍出量の低下から徐脈が生じる。
・激しい頭痛
・悪心・嘔吐
・意識障害
・瞳孔異常
乳幼児の場合
頭囲拡大・頭蓋縫合の離開がおこります。
検査・治療
検査
・CT・MRI
・頭蓋内圧の測定
⇒腰椎穿刺を行うと髄液圧が変化し脳ヘルニアをきたす恐れがあるため禁忌!
治療
・頭蓋内圧降下薬(D-マンニトール・濃グリセリン)
・副腎皮質ホルモン投与
・バルビツレート療法
⇒脳血管収縮作用、脳代謝、脳酸素消費低下作用がある
・体温療法、負の水分バランス管理(利尿剤投与)
看護
セミファウラー位⇒心臓への還流量を増やす
咳、努責は頭蓋内圧亢進させるため感冒・便秘には注意するよう指導
脳ヘルニアとは
脳組織の一部が本来の位置から押し出されて頭蓋腔の区画を超えて起こること
脳ヘルニアの分類
大脳鎌下ヘルニア (帯状回ヘルニア) |
前頭葉圧迫:初期は無症状のことが多い |
---|---|
テント切痕ヘルニア (正中ヘルニア) |
間脳:意識障害 チェーンストークス 中脳:昏睡状態 中枢性過呼吸 散瞳 対光反射消失 除脳硬直 延髄:昏睡状態 対光反射消失 四肢弛緩 |
大孔ヘルニア | 延髄:意識障害 呼吸障害 |
まとめ
頭蓋内圧亢進の症状を抑えましょう
頭痛(特に起床時)、悪心・嘔吐、うっ血乳頭、クッシング現象(血圧上昇・徐脈)
頭蓋内圧亢進は進行すると脳ヘルニアになる危険があるため移行を防ぐことが重要