筋肉骨子こと、こっこ(@kinnikukokko)と申します。
さて本日は心タンポナーデについて深めていきたいと思います。
心タンポナーデ⇒心膜腔に大量に液体が貯留したとき、心室の拡張障害により著しい静脈還流障害が生じる。これにより心拍出量が低下し、ショック状態が生じるもの
原因の代表的なものとして「悪性腫瘍、特発性(ウイルス性)心膜炎、腎不全による心膜液貯留、心膜腔への出血(大動脈解離、外傷、心破裂」があります。まれなものとして、心臓手術後や心臓カテーテル検査があげられます。
胸部X線では「きんちゃく型の心陰影」の拡大がみられます。
こんなかんじです。
心エコーでは心膜腔に「echo free space」がみられます。
治療は「心膜穿刺」による排液が唯一の治療です。
では次に症状を見ていきましょう。
心タンポナーデといえばBeckの三徴です。
Beckの三徴とは「心音微弱」「頸静脈怒張」「低血圧」の3つを合わせたものです。
Beckの三徴とは「心音微弱」「頸静脈怒張」「低血圧」の3つを合わせたもの
ではなぜこの症状が現れるのか一緒に確認していきましょう。
・心膜腔に大量に液体が貯留⇒心音微弱(貯留自体の影響で聞こえなくなる)
・心膜腔に大量に液体が貯留⇒心室拡張不全⇒心拍出量低下(心室が拡張できないということは心室に貯まる血液が減ることや、収縮力が弱まるため心臓からでる血液の量が減ります。例えば風船を想像してください。風船を膨らませる(拡張)した状態で空気を抜く(収縮)とたくさんの空気が抜けますよね。でも風船が膨らんでないと空気は出ないですよね。)心拍出量が低下すると、量が少ないので血圧低下、脈圧縮小、そして循環血液量が減ってるから送り出す回数を増やして整えなきゃ!ということで補うために脈拍数増加につながります。
そして右心でももちろん、心膜腔に大量に液体が貯留⇒心室拡張不全となると右心室から肺へ送られる血液が減少します。そうすると、血液をためている右心房の圧が上昇⇒中心静脈血液うっ滞⇒中心静脈圧上昇⇒頸動脈怒張につながります。中心静脈圧が上昇するということは、全身の静脈も心臓に戻りづらくなるため、全身の静脈圧も上昇し、体循環にうっ血を来たした状態となります。そのため浮腫、腹水、肝腫大にもつながります。